こんにちは、きのこ母さんです。毎日何でもいいから紙を読んでいたい、アラサー主婦です。


本屋さんに行ったら、平積みにされていた「あずかりやさん」(大山敦子 著)「とりつくしま」(東 直子 著)

「書店員さんおすすめ」ということで気になったので、順番待ちして 図書館から借りてきました。(←買わんのかい)(←主婦ですから…)


たまたま両方とも同時期に手元に来たので、平行読みしました。

ポップではどちらも 「心温まるストーリー」のような説明だったのですが、「ん?そうでもない?」というのが読後の感想。


本来比べられるものではないでしょうが、両作品の味がわかりやすくなりそうなので、比較しながら読書感想を書いていきますね。



 

「あずかりやさん」のあらすじ


明日町商店街こんぺいとう通りの片隅にある、一日100円で何でも預かってくれる「あずかりやさん」。

店主は目の見えない青年で、それが所以にお客さんは安心して色んなものを預けていきます。

「あずかりやさん」はもともとは和菓子屋さんでしたが、親の代で廃業。

店主はひとり孤独な生活をしていましたが、あるものを預かったことをきっかけに「あずかりやさん」を始めます。

いろんな出会いを通して、店主の優しさや誠実さにお客さんが救われたり、逆に店主が過去から自由になれたり。

伏線も張ってあり、登場人物それぞれの成長物語にもなっています。




「とりつくしま」のあらすじ


「とりつくしま 」はこの世に未練を残したひとが、「とりつくしま係」に誘導されて、希望する物にとりついて生き返るお話です。

亡くなった母親が、息子の最後の野球の試合を見るためにロジンバッグ(手に付ける白い粉)にとりついたり、

亡くなった妻が、夫が愛用していたマグカップにとりついたり…。

誰にも気づかれないけど、モノとして再び大切な人と日常を過ごすストーリーです。




「あずかりやさん」と「とりつくしま」の共通点とは?


「あずかりやさん」も「とりつくしま」も「モノ」あってのストーリーです。

「モノ」への思い、「モノ」を通して出来た思い出、それらがいい味を出しています。

どちらも「モノ」が大きくストーリーに関係するので、読後は「もっとモノを大切にしよう」と自然と思えてきます。



そして「あずかりやさん」も「とりつくしま」も、「モノ」の視点で物語が語られます。

「あずかりやさん」はお店ののれんや、預けられたモノの視点から。

「とりつくしま」は「とりついたモノ」の視点から。

厳密に言うと、「とりつくしま」の場合は「モノ」というよりは「とりついた人がモノを通しての視点」ですが。

どちらも思いはあるのに、動けないし話せない、もどかしさを抱えながら、日常が綴られていきます。




人情あふれる「あずかりやさん」、ちょっと不気味な「とりつくしま」


どちらも心温まる話だと思って最初は読んでいたのですが…


「あずかりやさん」には、親に置いていかれた過去を持つ店主を始め、同じく天涯孤独の中年女性や、夫に不倫された妻など、複雑なバックグラウンドを持つ人々が登場します。

けれど、ストーリーは優しく、明るい方へ流れて行きます。

誠実で全てを受け入れるような、店主の人柄もあるかもしれませんね。

読後感がさわやかです。



一方、「とりつくしま」は、モノにとりつくことで生前は見えなかった家族の思いや、亡くなっても大好きな人の側にいたいという切実さに「じ~ん」とはくるのですが…

オムニバス形式で話が進んでいくのですが、中には救われない話も…


生前母親に振り回され続けた女性が、それでも死後母親が心配で、母親の補聴器にとりつく話があります。

娘は母親を心配して、聞こえないとわかっていても一生懸命補聴器から話かけます。

それなのに、母親は「補聴器で風の音がうるさい」と娘のとりついている補聴器を道端に投げ捨ててしまうのです。

補聴器の娘が道端から「置いていかないで、捨てないで」と叫んでも、もちろん母親に届く訳もなく…

そこで話は終わるのですが、もう「ずーん…」となりました。

その後、娘はどうなったの??

捨てられても補聴器にとりついたままなの??

色々疑問も残ります。

いろいろ想像する楽しさはあるけど、なんともモヤモヤ。


他にも、生前好きだった図書館のお姉さんのネームプレートにとりつく、ホームレス男性の話も出てきます。

コミカルに描かれているけど、現実的に考えると、ちょっと怖いですよね…。

江戸川乱歩の「人間椅子」のような不気味さがあります。




映像化するなら…


勝手な妄想ですが、「あずかりやさん」は一本の映画になりそうだと思いました。

店主は見た目麗しく、おそらく30代だけどもっと若く見えるという設定なので、イケメン俳優が抜擢されていい感じの映画になるのではないかと(笑)

店主がすごく魅力的なので、それだけで映画が成り立ちやすそうです。

目が見えない役どころがちょっと難しいかもしれませんが、キムタクの「武士の一分」も良かったですしね。


「とりつくしま」は、「世にも奇妙な物語」の一遍として出てきそうな感じです。

あの読後感に残る不気味さとか、切ない感じとか、「世にも奇妙な物語」にピッタリかと!




こんな人にオススメ!


「あずかりやさん」は癒されたいひと、優しさに触れたいひとにオススメしたいです。

「とりつくしま」は不思議系が好きなひとにオススメです!

とっても読みやすいので、余裕があればどちらも読んでみてほしいですね。


以上、「あずかりやさん」と「とりつくしま」の読書録でした!